養子縁組について
相続人でない人に遺産を相続をさせる場合、遺言を作成することが一般的ですが、場合によっては養子縁組をアドバイスすることもあります。
遺言と養子縁組を併用する場合もあれば、遺言だけ、もしくは養子縁組だけをすることもあります。
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組がありますが、このページで養子縁組と書く場合は、普通養子縁組を指しています。
以下で、養子縁組の方法や遺言との違いなどについてご紹介します。
養子縁組の方法
届出先など
養子縁組は、養子縁組届に所定の事項を記載し、本籍地または住所地の市役所に届出します。
養子縁組届には、原則 養親と養子、証人2名が署名、押印します。
ただし、ケースによっては養親と養子以外の方(例えば、配偶者など)が養子縁組に同意した旨を記載し、署名押印しなければならない場合や裁判所の許可が必要な場合などもあります。
※押印する印鑑については、認印でもよい
必要書類
必要書類は、上記の養子縁組届、養親と養子の戸籍謄本が必要です。
ただし、本籍地の市役所に届け出する場合は、戸籍謄本を省略することができる場合があります。
また、届け出の際の本人確認書類として運転免許証等が必要です。
養子縁組の効力
養子縁組をすると、
縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得
します。
結果として、次のような効力が発生します。
養親が死亡した場合に相続人になれる
養子になると、養親が死亡した時に養親の相続人になります。
養親に養子以外にも子供がいる場合は、他の子供とともに相続人となります。
養子の相続分と実子の相続分は等しいので、例えば、養親の死亡時に配偶者A、実子B、実子C、養子Dがいる場合の相続分は、
- 配偶者A 3/6
- 実子B 1/6
- 実子C 1/6
- 養子D 1/6
となります。
養子の氏が養親の氏に代わる
養子縁組をすると、原則 養子の氏は、養親の氏にかわります。
ただし、ケースによっては、氏が変わらない場合もあります。
扶養義務が発生する
養子縁組をすることで親子になりますので、法律上お互いに扶養義務が発生します。
養子縁組の注意点、その他の留意事項
縁組前の子供は代襲相続人にならない
例えば、親A、子B、孫Cといる場合に、子Bが親Aよりも先に亡くなっている場合、親Aの相続人には子Bの子である孫Cがなります。このような場合の孫Cのことを法律上、「代襲相続人」といいます。
養子縁組の場合、縁組前の子供は代襲相続人にならないというルールがあります。
つまり、養親Aと養子Bが養子縁組をする前に、Bの子Cが生まれている場合、養親Aの死亡前にBが死亡していたとしても、Aの相続に関してCは相続人となりません。
共同相続人がいる場合、遺産を分けるには全員の合意が必要
養子以外にも養親に実子などの相続人がいる場合は、養親の相続に関して遺産を分けるには相続人全員の同意(遺産分割協議)が必要です。
この点、遺言書で遺産の分け方を書いている場合は、この遺産分割協議をすることなしに遺言書に書いているとおり遺産を分けることができます。
養子縁組をすることで相続税の基礎控除額が増えることがある
養子縁組をすることで相続税の基礎控除額が増えることがあります。
詳しくは、税務署等や国税庁のホームぺージでご確認ください。
相続でお困りの方は、加古川市の司法書士丸山事務所へ
養子縁組について、ざっくりとした説明を記載しましたが、養子縁組の要件や効力はなかなか複雑です。
せっかく養子縁組したのに、思っていたような効力が発生しなかったというようなことがないように、事前にしっかり調査、確認をすることが大切です。
そのうえで遺言にするのか、養子縁組にするのかを判断するのがよいでしょう。
丸山事務所では、遺言や養子縁組を含め相続に関するこういったサポートも広く受け付けておりますので、お気軽にご相談、お問合せ下さい。