知らないと恥ずかしい?法律用語について
知らないと恥ずかしい?法律用語と日常用語の食い違いについて
遺言=ゆいごん?いごん?
お客さんから相談を受ける中で法律用語と日常用語の食い違いを気づかされることがよくあります。
例えば、次のような相談を受けたとき、みなさんは何についての相談だと思いますか?
例「主人の名義の自宅を、財産分与して私の名義に変更してほしい」
こんな相談が来た時、私たち司法書士はご主人の相続についての相談か、離婚に伴う財産分与の相談かの可能性を考えます。
実は、「財産分与」という言葉は、法律用語では離婚した際に一方の当事者からもう一方へ財産を分け与えることを言います。したがって、死亡した夫の遺産を妻が相続することは「財産分与」とは法律用語では言いません。
しかし、相談に来られる方は、相続の場合でも「財産分与」という言葉を使う方がたくさんいらっしゃいます。また、テレビや新聞などでも、相続についての特集で「財産分与」という言葉を使っていることもよく見ます。
私自身として、このような細かい言葉の違いというのは、法律関係のお仕事に就いている方でなければわからないのは当然だと思いますし、実際私も法律の勉強をするまでは、法律用語の正確な定義を知りませんでした。
ですので、このような言葉の違いを知らなかったとしてもはずかしいといったことは全くないと思います。
相談を受けるとき、無意識に法律用語を使ってしまい、相談者が別の意味にとってしまう
相談者の言いたいことをうまく汲み取れない
といったことがないように、わたしは相談の際には気を付けるようにしています。
もし、司法書士やその他の専門家に何か相談し、専門家が専門用語を多用し説明の意味がわからないときは、一言「それはどういう意味ですか?」と聞き返してもいいと思います。
少し聞きずらいかもしれませんが、そういった小さい疑問にしっかり答えてくれる方の方が私は安心します。
日常用語と意味や読み方が違う言葉、日常用語にはない言葉を参考までにまとめてみました。
用語 | 読み方 | 説明 |
---|---|---|
相続 | そうぞく | 死者が生前がもっていた財産上の権利、義務を承継すること。相続は、死亡によってのみ開始する。相続が発生すると遺産は相続人の共有となる。 |
遺産分割 | いさんぶんかつ | 相続により相続人の共有である遺産を相続人全員の合意により共有状態を解消すること。例えば、夫が死亡し相続人が妻と子である場合は遺産は妻と子の共有となるが、遺産分割によって自宅は妻が取得し、預貯金は子が取得するというように遺産の分配ができる。 |
相続放棄 | そうぞくほうき | 相続が開始した後に相続人となるものが相続の効果を拒否する意思表示。相続放棄をするとはじめから相続人ではなったことになる。相続放棄は家庭裁判所に対する申述によること、相続放棄をすると借金等の債務も引き継がない点で遺産分割とは異なる。 |
財産分与 | ざいさんぶんよ | 離婚した後に、当事者の一方がもう片方へ財産を分け与えること。 |
生前贈与 | せいぜんぞうよ | 当事者の一方からもう一方へ無償で財産を移転する契約。単純に贈与という。 |
婿養子 | むこようし | 旧民法にあった制度。現行法における婚姻と養子縁組を同時に行うこと。家制度があった旧民法では「家」の維持のために使われたが、現在では家制度がないためその意味では格別効果がない。なお、現在「婿養子」というと、養子縁組までせず、単に婚姻の際の氏を妻の氏とすることを意味することもある。 |
遺産相続 | いさんそうぞく | 旧民法にあった戸主以外の家族の死亡による財産の相続制度。現行法ではない制度だが、遺産相続というと単純に相続のことを意味することが多い。 |
自筆証書遺言 | じひつしょうしょいごん | 死後の自己の法律関係を定める意思表示。日常用語では「ゆいごん」と読むが、法律用語では「いごん」と読む。遺言は法律で方式が定められており、自筆証書遺言はその方式の一つ。遺言者が全文、日付、氏名を自書、押印する。 |
公正証書遺言 | こうせいしょうしょゆいごん | 公正証書遺言は、遺言の方式の一つ。証人2人の立ち合いのもと、遺言内容を公証人に口述して筆記させ、各人が署名押印する方法。公証人が作成に関与しているため、自筆証書遺言に比べて信用力があり、後日の紛争防止に役立つ。 |